ガラスヒバァのお腹から謎の卵が

 ヘビの仲間は、お腹に指を当て、頭の方向に向かって押し出すことで、胃の中の物を非侵襲的に取り出すことができます。ある日、ガラスヒバァから謎の卵が出てきました。ゼリー質に包まれていたことから両生類の卵であると目星をつけて、卵の形態から同定を試みましたが、イボイモリとイシカワガエルのどちらかよくわかりませんでした。そこで、両生類の卵からDNAを抽出し、両生類のユニバーサルプライマーを用いてミトコンドリアDNA遺伝子の塩基配列を決定しました。胚発生があまり進んでいないようだったので、DNAが取れるかわからなかったのですが、意外にも多量のDNAが抽出できました。一つの細胞に一つしか入っていない核DNAと違い、一つの細胞に複数含まれているミトコンドリアの強みですね。

 


 

 天然記念物や国内希少野生動物種に指定されているイボイモリですが、ガラスヒバァの胃内容物を調べることは彼らの繁殖生態の解明につながると考えています。例えば、ガラスヒバァのイボイモリ卵の利用の季節変化を調べることで、未だよくわかっていないイボイモリの繁殖時期の詳細を明らかにすることができます。


詳細につきましては以下の文献をご参照ください。

皆藤琢磨 (2012) ガラスヒバァによるイボイモリ卵の捕食.Akamata. No. 23: 9–14.